utanoha

勘違い思い違いを糧にして今日も素敵な恋をしましょう

もう一度だけキスをする僕達の優柔不断を打ち消すように

何食いに行こうかなんて聞かないで 摘まれるために咲いたあたしに

お互いに舐めあうための傷を付け合って満たされるから淋しい

張り付いた背中の汗とTシャツと君の視線を快感にする

巻き戻すテープの伸びてく音がする諦めるために泣く振りをした

別れても伸ばし続けた髪の分だけはあなたの知らない私

温もりを逃がさないままつなぐ手は少女小説ならラストシーン

空くじのないくじ引いて満足な顔した僕は幸せだった

新色で本音塗り込めたあたくしの唇をまた食べてください

出来るだけ上手に後悔するために静寂味方にうつむくふたり

僕のひざの陽だまりの上に君のその温もり愛しき今日は日曜

果敢なげに舞えるばかりが花じゃなし太陽睨む向日葵がいる

青い星の裏側で誰が死のうとも繋ぐ手と手はいま温かい

ぼくたちはぼく/たちである現実を見てみぬふりで歩きつづける

真っ白な雪の似合わぬこの街で息白くしてあの人を待つ

椅子の背に掛けっぱなしのエプロンのいやにキレイなアイロンの皺

掃除機の騒音でさえ恋しくてあの日の君は癇癪持ちで

おもむろに開けて気がつくこの部屋に大きすぎるよこの冷蔵庫

ひんやりと触れる手のひら僕だけの体温計にならぬ寂しさ

最後なら切ないねっていえるのに嫌でも明日はくるね、と笑う

地図上で2センチ5ミリ二次元の世界で恋が語れるならば

愛されて生きることだけ考えて歩く頭上にトラックが降る

夕暮れの空の色より複雑なあなたを好きになっちゃいけない

虹と空の境界線を引いたのは独占欲の強いかみさま

二十二のあなただったら考えた?結婚・妊娠・殺人の意味

備忘録がわりの日記取り返しつくことばかり思い出にして

「本日は閉店しました」店先を守り抜く決意する看板

神の出す右向け右の号令をもろともせずに倒すハードル

凄惨な事故の傷跡 朝の日にガードレールは物言わず立つ