題詠

011:犬

ゆつくりと生たることを失えし愛犬の名を持ったかたまり 注射器を構えた我をじつと見る犬の眼に映り込む青 夕日にも質量がある 犬の眼で一途な闇を見据えて生きる短歌日記,短歌日記連作,短歌日記本歌取り“眼”は「まなこ」だったり「め」だったりしますが、て…

010:チーズ

今しがた頬張っていたレアチーズケーキをキスで味わいながら短歌日記

009:圏外

電源を切るのもあとがしんどいし圏外着歴機能は欲しい短歌日記

008:姫

エンゲージリング買っちゃう? 騙し騙しお姫さまだっこできてるうちに短歌日記

007:数学

単純な計算式で解決を遂げる「数学」未満の恋だ短歌日記もともとは、「単純な計算式で解決を遂げる算数レベルの恋だ」。

006:土

誰の足跡もないこの入り口に土足厳禁プレートを貼る短歌日記

004:ぬくもり

ぬくもりを買うために売る体だと笑う少女の手の柔らかさ短歌日記

005:名前

しがらみに縛らせたままで今もなお『空ノ名前』という名の日記短歌日記

003:運

運び屋の女に似合う色なんて赤やら黒、に、厳かな白短歌日記

002:安心

一つにはならぬ身体だからせめて指輪という名の安心を買う短歌日記

001:空

空色のシャツを羽織って人波に「ミソラ、ミソラ、」と口ずさむ朝短歌日記