短歌日記

しらふでも言えることだけ突きつけた歌なら完成度も高いよね

八月の熱は癒えずに右指を支配したまま焼き付く指輪

閉じ掛けたピアスホールをこじ開けるように痛みを伴う笑顔

本当の残酷さなど知らないで原爆の絵の募集ポスター

君にしかあてない歌で「君」という字を羅列することへの不思議

絆だけくっきり残す決意して足もとの影焦がして泣いた

傷跡は禁忌を重ね罪重ね瘡蓋剥がす手は止まらずに

綿菓子の糸をゆうるりほどいてく唇次第に艶めいてゆく

色街で呼吸してきた捨て犬の丸い目がいう 僕にふれるな

そうじゃない独り善がりじゃ気持ちイイことも気持ち悪くなるからで

はにかんでうつむいている今ぐらいポメラニアンのしっぽが欲しい

晴天を祈るあなたの微笑みとあの夕焼けの朱が嘘でも